会計基準最新情報

国際会計基準審議会は、退職給付会計基準(IAS19:従業員給付)見直しに関する「最終基準書(案)」(near-final draft)を公表しました。(6/2)

主な改正内容
1.積立状況の即時認識(遅延認識の廃止)
   確定給付債務(DBO)と年金資産の差額をB/Sで認識


2.退職給付費用の区分
   債務および資産の変動すべてを包括利益計算書で即時認識
   ①勤務費用:損益計算書で認識
    ・現在勤務費用、過去勤務費用、縮小損益、清算損益
   ②純利息費用:損益計算書で認識
    ・未積立債務の利息(期中の増減を考慮する)
    ※したがって期待運用収益率=割引率となる
   ③再測定費用:その他包括利益で認識
    ・確定給付債務(DBO)から発生する数理計算上の差異
    ・純利息費用に含まれる運用収益以外の年金資産の運用損益
    ※運用損益から資産管理費用と債務測定に織り込まれていない税金を控除する。
3.開示の強化
   ①確定給付制度の特性
    ・退職給付制度の特性(算定式、法制、ガバナンス)
    ・リスク
    ・制度変更、制度の縮小や清算の内容
   ②財務諸表に計上した数値の説明
    ・積立状況の詳細と一年間の変動
    ・積立金の内訳
    ・主要な基礎率
   ③将来キャッシュフローの金額、タイミング、不確実性
    ・主要な基礎率の感応度分析(結果および手法)
    ・年金ALMなどリスク管理の手法
    ・将来キャッシュフロー(積立方法、翌年度の掛金、成熟度合)

改正基準の適用時期は2013年1月1日以降に開始の会計年度となっています。
今月末までに、最終基準書が公表される予定です。 

なお、昨年4月公表の公開草案と比べると、下記の主要な認識方法に変更はありません。
しかしながら、開示や管理費用の取扱等について若干の変更がありました。

公開草案からの主な変更点:
1.開示
  ・基礎率を見直した場合の影響測定(感応度分析)において、勤務費用が除外
  ・掛金の将来予測が5年間から1年間に短縮
  ・年金資産の特性の開示が細分化

2.その他
  ・制度管理費用を債務測定に盛り込まない
  ・制度変更や縮小による過去勤務債務の費用認識時期(制度変更や縮小が行われた
       日あるいは、関連するリストラ費用等を認識した日の早いほう)
  ・清算

 

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