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確定給付企業年金の財政計算等の特例について

厚生労働省は9月11日付けで「確定給付企業年金の財政計算等に係る特例的扱いについて」を公表しました。


内容の概略は以下のとおりです通知はこちら

1.給付区分別別途積立金の導入

実施事業所共通の給付区分に加えて、一部事業所による上乗せの給付区分を設ける場合は、給付区分ごとに年金資産を管理することで、給付区分別に別途積立金を積み立てることができるようになります。

2.承継事業所償却積立金の導入

事業所が新たに加わる場合、承継資産額が数理債務を上回る額(剰余金)を承継事業所償却積立金として別途区分して積み立てることができます。承継事業所償却積立金は、財政計算によって特別掛金が発生した場合に、取崩して特別掛金に充当することができます。

3.確定給付企業年金法施行規則の改定への対応

平成20年9月11日付規則改正における、「厚生労働大臣が定める場合」および「厚生労働大臣が定める方法」が明らかにされました。

(1)確定給付企業年金分割時の対応
上記1または2を適用している場合の、資産分割の方法が定められました。
 ・移転事業所の承継事業所償却積立金を分割による移換資産に加算することができる。
 ・給付区分毎に積立金、債務等を計算する。

(2)事業所脱退時の特別掛金の計算方法
上記1または2を適用している場合の、特別掛金の計算方法が定められました。
 ・移転事業所の承継事業所償却積立金を脱退時特別掛金から控除することができる。
 ・給付区分毎に脱退時特別掛金を計算する。

(3)制度終了時の一括掛金の計算方法
上記1または2を適用している場合の、一括掛金の計算方法が定められました。
 ・移転事業所の承継事業所償却積立金を一括掛金から控除することができる。
 ・給付区分毎に特別掛金を計算する。
いずれの場合も、マイナスになる場合はマイナス分を他の事業所へ配分する。

これらの取扱いは、制度間移行による実施事業所間の不公平感を緩和する措置であり、今後制度間の移行(特に適格年金から確定給付企業年金への移行)が促進されることが期待されます。

ただし、給付区分毎に資産管理が行われることによって、退職給付会計の複数事業主制度の会計処理の適用ができるのか、複数事業主制度の開示内容が今のままで十分なのか、などの課題が改めて生じる可能性があります。

なお、厚生年金基金についても同様の措置が取られています。

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