確定給付企業年金、厚生年金基金の財政運営の見直しに関する意見募集を開始(2011/7/14)
厚生労働省は、確定給付企業年金、厚生年金基金の財政運営の見直しに関する意見募集を開始した。
意見募集は8月15日まで。
主な内容は以下の通り。
(以下、公布日より施行)
1.特別掛金算定方法の追加
将来の加入者数、給与の動向を織り込んで特別掛金率を設定できることとする。
2.特別掛金の段階的引上げ
厚生年金基金に認められている掛金の段階的引上げを確定給付企業年金でも可能とする。
3.確定拠出年金移換時の一括拠出の緩和
確定拠出年金に資産移換する際、制度全体の積立不足の一括拠出が必要とされているが、これを移換者の移行部分に限定する。
・・・詳細は不明だが、「移換者」に限定されるという点では複数事業主制度において、DC移換する企業のみの一括拠出が可能になり、DC移行し易くなるものと思われる。
4.脱退一時金(支給開始前の選択一時金)上限額の緩和
老齢年金を支給開始前に脱退一時金として支払う額の上限は、下限予定利率による現価相当額とされているが、(据置による割引に)規約上の据置利率を使用できることとする。
5.選択一時金の上限額の緩和
下限予定利率による現価であるが、一時金選択時または支給開始時のいずれか低い率を使用できることとする。
6.キャッシュ・バランス・プランの指標の追加
現在の指標(国債、消費者物価指数、賃金指数)に加えて、上下限を付した市場インデックスを使用可能とする。
・・・上下限を付すことが必須なのか不明
7.制度終了時の残余財産分配方法の追加
掛金を負担した加入者に優先的に分配することを可能とする。
・・・詳細は不明だが、本人拠出分についての優先分配か?
8.全ての支払が終了し、新規加入者が生じない閉鎖型制度の制度終了時の残余財産の取扱
制度終了後の残余財産の取扱について、規約の記載事項とする。
・・・企業への返還が明確になると考えられる。
(以下、24年度決算より施行)
9.財務諸表の表示方法の変更
(1)数理的評価の調整勘定を廃止
・・・数理的評価を使用しても不足金等は時価で計算する。ただし、継続基準への抵触、掛金率見直しの際は、数理的評価を使用する。
(2)数理債務と特別掛金収入現価を合算し、「責任準備金」として表示
10.非継続基準の見直し
(1)積立水準の経過措置(平成23年度まで最低積立基準額の90%)を平成24年度から2%づつ引上げ、28年度に100%とする。
(2)積立基準の回復計画の廃止
非継続基準に抵触した場合の掛金拠出において、「積立水準の回復計画」、「積立不足に応じた拠出」と二つの方法が認められていたが、前者を廃止する。(経過的に28年度まで可能)